【堤幸彦監督コメント】
気がつくと今年で66歳で、気がつくと50本の映画を撮っていた。元々はバラエティ番組の出身でありMVやコントが専門であったのに、ドラマや舞台の演出もたんまり経験した。20代からまさに休みなしで走り続けてきたが、コロナでふと立ち止まった。半ば強制的に。
静かになって耳をすますとそこには“仕事ないなら自分たちで仕事を創る!”と強い意志を持った女優たちがいた。業界での44年で初めて見たタイプの意志だった。それで映画『truth』が出来た。紛れもない『自主映画』として。
50本目の節目なんて意味はない。立ち止まってはいられない。これから何歳になっても彼女らの純粋な意志に相応しい作品を生み出せるのか、観客の期待や視線に応えられるかどうかが問われている。
でも“記念しよう!”と奇特な人々もいた。半分マジな生前葬のような。せっかくだから過去の忘れがたい作品をまとめて見てみたい。そして今後の、コロナ後の作風を考えればいい。きっと幾つかの私の“古いフィルム”にはその年齢のがむしゃらが映っているはずだ。私に声をかけてくれた女優たちの純粋さと、それは果たして戦えるのか……。
【スタッフ】
監督:堤幸彦
監督デビューから34年、堤 幸彦は一貫して「真実」に目を凝らし続けています。監督50作『truth~姦しき弔いの果て~』公開を記念して、様々な「真実」を描いた作品を上映します。
女性たちの心の内に迫る『truth~姦しき弔いの果て~』の前身ともいえる『2LDK』、主人公の深層心理に迫るホラ『EGG』、ほんとうの幸福とは何か問いかける『自虐の詩』、現代社会で見過ごされそうな生活者たちを追った『MY HOUSE』、究極の家族愛を描く『くちづけ』、亡き人たちの語られなかった物語に寄り添う『悼む人』、……掘っても掘っても底深い人間の心に監督・堤幸彦のまなざしを通して思いをいたしてください。